【子どもでも貧血に?】鉄分補給の工夫

レシピ

子どもでも貧血になる?

結論から言うと、子どもでも貧血になることはあります。
特に、生後6ヶ月頃から、身体に蓄えてあった鉄が減り、母乳だけでは不足してくるそうです。

「授乳・離乳の支援ガイド」では、母乳育児を行っている場合、生後5~6 か月を目安として離乳を開始するとともに、鉄の供給源となる食品を積極的に摂取するなど、離乳の進行を踏まえてそれらの食品を意識的に取り入れることを推奨している。

日本人の食事摂取基準2025より引用

生後6ヶ月〜11ヶ月の子で1日に推奨されている鉄の摂取量は4.5mgです。
一方で、30〜64歳の成人女性では7.5mgです。
赤ちゃんは体の小さい割に結構な量を摂取するよう、成長のために推奨されているのだと分かります。
ただし、以下のように、数値ばかりに捉われるのではなく、子どもが元気か、普段とどこか違うか、よく観察することも大切です。

鉄は摂取量が足りなくなると吸収率があがり、
また基本的に吸収率は野菜などを軸として考えられていることなども考えなくてはなりません。
タンパク質類からだけで計算する必要もなく、追い求める必要はありません。

鉄欠乏のリスクは早産等他のリスクも多分に考えられます。離乳食時期の鉄摂取が不安になったら、現状、子どもが元気かどうかで判断することが求められます。

母子栄養協会HPより抜粋

母乳とミルク、鉄が多いのは?

1L当たりの鉄の量
母乳0.35mg
明治ほほえみ(粉ミルク)8.1mg

比較してみると、母乳に含まれる鉄はミルクに比べるととても少ないことが分かります。
(ただし母乳の方が粉ミルクよりも鉄を効率よく吸収できます)。
貧血予防として、特に母乳オンリーで育てている場合は
・生後6ヶ月ごろから粉ミルクを足す
・離乳食が進んでいったら、積極的に鉄を多く含む食べ物を取り入れる
などと工夫すると良いですね。

鉄を多く含む食べ物

実は、鉄には2種類あります。
動物性食品に含まれるヘム鉄植物性食品に含まれる非ヘム鉄です。

動物性食品(ヘム鉄)

①レバー

鉄が多い食べ物としてパッと思いつくのが「レバー」。
突然ですがクイズです!
牛・豚・鶏の中で、一番鉄が多いのはどれでしょう?

答えは「豚レバー」です。
ダントツで鉄の量が多いのは豚です。
ただし、豚レバーはどう調理しても固くなってしまいがち・・・
スポーツをやっているような学生や成人女性などで鉄分を効果的に摂りたい人は、豚レバーをオススメします。
噛む力の弱い小さなお子さんや高齢者には、鶏レバーをオススメします!

②赤身の肉(特に牛肉)

牛肉は、豚肉の3倍くらい多く鉄が含まれています。
ただし牛肉は豚肉より硬くなってしまったり、独特の臭みもあるので嫌がる子もいます。
牛肉にこだわらず、赤身の肉を積極的にメニューに加えると良いですよ。
さいの目切りの離乳食が食べられるくらい噛む力がついてきたら、最初はひき肉を加えてそぼろ煮などにしてみると良いと思います。

③赤身の魚(カツオやマグロなど)

子どもに魚を出しても食べてくれない!といったお悩みはないですか?
出してもグリルの掃除が面倒・・・など様々な理由で、肉より魚の頻度が少ない方も多いのではないでしょうか?
そこで、オススメしたいのがツナ缶です!

ツナはマグロやカツオからできているものがほとんどです。
ノンオイルかつ食塩無添加のものでしたら、離乳食モグモグ期(7〜8か月頃)から使ってOKです!

植物性食品(非ヘム鉄)

①緑の葉物野菜

小松菜やほうれん草といった、青菜にも鉄は含まれます。
同じ100gで比較すると、小松菜の方が鉄の含有量は多いです。
噛む力が弱い小さな子にあげる際は、繊維を断つように細かく切ってあげると食べやすいですよ。
また小松菜は食感があるので、離乳食のお子さんであれば、柔らかいほうれん草をオススメします。

②大豆製品

意外かもしれませんが、実は豆腐、油揚げ、厚揚げ、納豆、豆乳、きなこ・・・といった大豆製品にも鉄は含まれます。

③卵

卵は1個あたり(約50gあたり)の鉄は0.8mg。
肉や魚、大豆製品と比べると、鉄の量は少ないかもしれませんが、卵は手軽に使いやすい食品です。
鉄を含む食品であることを、ぜひ知っておいてください!

④粉ミルク

上記でお話しした通り、母乳と比べて粉ミルクは鉄が多く含まれます。
ミルクを使ったスープやポタージュ、リゾットやオムレツなど、料理に取り入れると鉄分補給に良いですよ。

非ヘム鉄はビタミンCと一緒に摂ると効果的

実は、植物性食品に含まれる「非ヘム鉄」は、ヘム鉄に比べると吸収率が悪いです。
吸収をアップさせるために一緒に摂ると良いのが、ビタミンC

ビタミンCは、ブロッコリーなどの野菜や柑橘類・いちごなどの果物に多く含まれます。
ぜひ野菜や果物も一緒に食べて、効率的に鉄を吸収しましょう

また、「チリも積もれば山となる」という言葉のように、その日のご飯のどこかに葉物野菜や大豆製品を入れ込むと鉄分補給に繋がりますよ。

鉄を補う!離乳食レシピ

【モグモグ期・カミカミ期】じゃがレバー

<材料 1食分>
スーパーの焼き鳥串 串から外した小さめ1個
茹でじゃがいも   小1/2個

<作り方>
①焼き鳥は茹でて、タレを洗い流す。水気を切っておく。
 ※素焼きが売っていれば素焼きでもOK。
  素焼きでも、中まで確実に火を通すために、一度茹でましょう。
②茹でじゃがいもと①を合わせる。マッシャーで潰して、完成!

<ポイント>
スーパーで売られている焼き鳥をアレンジ。
 レバーを自宅で調理することに抵抗ある人にも、オススメの作り方です。
・カミカミ期(9〜11か月頃)でも、レバーはマッシュした芋やかぼちゃと合わせる方が食べやすいかと思います。

※注意事項※
 スーパーで調理済みのものをアレンジしています。
 食べる直前に調理し、作り置きや冷凍保存はNG!
 食べ残したものも速やかに廃棄しましょう

【カミカミ期・完了期】豆腐ツナハンバーグ

<材料 12個分くらい>
鶏ひき肉   130g
絹豆腐    150g(1/2丁)
ツナ缶    70g (1缶)
片栗粉    大さじ2
お好みの野菜 適量

<作り方>
①野菜はみじん切りにしておく。
②全ての材料をボウルに入れてよくこねる。
 ※タネがだいぶ柔らかいですが、それでOKです!
③スプーンでフライパンに落として弱火〜中火で焼く。
 ※フライパン用シートを使うと焦げ付きにくくてオススメです。

<ポイント>
・ツナ缶はノンオイル、食塩無添加のものから始めましょう。
・12個くらいできますので、冷凍保存しても良いです!
 冷めたらラップに1個ずつ包み、保存袋に入れて冷凍庫へしまいます。
・電子レンジ解凍する際は、600Wで1分〜で様子を見ます。
 必ず中心までアツアツに加熱されていることを確認しましょう。
・味が足りなければ、塩をさっと振ってから混ぜるか、
 食べる前にケチャップを薄く塗っても良いですよ。

【完了期〜】厚揚げとキャベツの煮物

<材料 2〜3食分>
厚揚げ  1枚
キャベツ 30g(1/2枚) 
油    大さじ1/2
だし汁  100ml
砂糖   小さじ1
醤油   小さじ1

<作り方>
①厚揚げは油抜きをして、さいの目切り。
②キャベツは太めの千切りにして、食べやすい長さに切る。
③油で②を炒める。
④だし汁と砂糖・醤油を③に加えて、煮る。
⑤野菜が柔らかくなったら①も加えて煮る。

<ポイント>
・厚揚げは油分が多いので、一度熱湯をかけるなど、油抜きをしましょう。
・厚揚げも豆腐の仲間なので、冷凍保存は向きません。
・お好みでごま油やにんじんなどの野菜に変えてOKです!

上手な鉄分補給で貧血予防

子どもでも貧血になるの?というシンプルな疑問から、鉄分補給の工夫についてお話ししました。
一度にたくさん摂るのではなく、毎日、食事のどこかに鉄を含む食品を取り入れると良いですね。
最後にレバーのビタミンAについて、触れておきたいと思います。

レバーはビタミンAが豊富な食材です

実は、レバーは鉄分の他に、ビタミンAも豊富に含む食材です。
このビタミンAは取り過ぎに注意したい栄養素。
乳児の場合、ビタミンAの耐用上限量(600μgRAE/1日)をレバー5gで満たしてしまいます。
レバー5gというと、焼き鳥の串から外した小さめ1個分くらいです。

レバーだけで鉄分摂取を考えるのではなく、色々な食材から摂取すると良いですよ。
良かったら過去の記事もご覧ください。